FC2ブログ


「脂」自体にそれほど味はないのに、脂身の豊富なお肉が美味しく感じるのはなぜでしょうか。

人間の味覚には、「甘味・酸味・塩味・苦味・うま味」の5つの基本味が知られていました。そこに新たに第六の味覚として、「脂味(脂肪味)」が登場してきました。


第六の味覚「脂味(脂肪味)」


米国のパデュー大学栄養学科の研究者は、従来の5つの基本味に続く第6の味覚として「脂味(Oleogustus)」を提唱しました。この新しい味覚に対して、パデュー大学の研究者は、油を意味する「オレオ(Oleo)」と、ラテン語で味覚を意味する「ガスタス(Gustus)」とを組み合わせて「オレオガスタス(oleogustus)」と呼ぶことを提案しています。

パデュー大学の研究では、脂肪の成分である「脂肪酸」と他の5味とを混合した溶液を用いて、102名の被験者を用いて味覚テストを行いました。各溶液の匂いや食感は同じになるように調整されましたが、多くの被験者は脂肪酸の有無を区別できました。

これまでは、脂肪は「味覚物質」ではなく、「脂っこさ」の食を与えているだけという考え方が一般的でしたが、この研究によって、脂肪にも独特の味覚を生じる作用があることが示されました。脂肪酸は、炭素原子が鎖状につながった構造をしていますが、その炭素鎖の長さによっても味覚に与える影響が異なることが示されています。

しかし、この研究では「脂肪酸が単一の味覚として知覚されるか」という課題には答えきれていませんが、この「脂味」に敏感かどうかが肥満と関連しているとのことで、肥満対策の重要なポイントと考えされています。「脂味」は、脂肪分の過剰摂取による生活習慣病対策として、新たな食品開発などにつがると期待されます。

オーストラリアのディーキン大学のRussell Keast博士が主体となって、オーストラリアのディーキン大学、アデレード大学、オーストラリア連邦科学産業研究機構、およびニュージーランドのマッセー大学の共同研究では、食品に含まれる一般的な数種類の脂肪酸を感じられるか実験しました。その結果、「脂味」に敏感な人は微少な量でも脂肪酸の味を感じるのに対し、鈍感な人は同量の脂味を感じられないのです。

人間は第六の味覚として「脂味」を感じることができ、Keast博士は、「脂味に敏感な人々は鈍感な人々とくらべ、脂質の摂取量が低くBMIも低いということも明らかになった」と語っています。

脂質が簡単に摂取できる現代では、脂味に対する感受性が鈍感になって、脂っこい食品を摂取し過ぎるリスクにさらされていることが示唆(しさ)されます。今後は、なぜ脂味に敏感な人々や鈍感な人々がいるのかということに焦点が当てられるでしょう。その原因が解明されると、脂質の摂取量をおさえるための低脂肪食品の開発などにも役立つでしょう。


脂味と肥満の関係


脂味(オレオガスタス)」は肥満と密接に関連しています。

「脂味」の感じ方には個人差があり、脂肪の味を敏感に識別できれば、脂っこい物の摂取量が抑えられて「BMI」も低い傾向があり、肥満対策になると期待されているのです。


脂味のメカニズムを解明


私たちは、「脂肪」が含まれる食品に美味しさを感じます。九州大学の研究グループは、人がどうやって「脂肪味」を知覚しているのかを解明しました。

味覚は、食べ物を粘膜の「味蕾(みらい)」という組織にある「味蕾細胞」に味覚物質がキャッチされることで生じます。その味覚刺激は、神経を伝わり脳へ伝えられます。

「脂味」が味覚の1つとして正式に認定されるためには、脂質をキャッチする「受容体」が存在しなければなりません。

これまで、「げっ歯類」の味蕾細胞では、「GPR40」や「GPR120」などの受容体や、「CD36」などのトランスポーター(膜輸送体)が、「脂肪酸」を感知していると考えられており、人間での研究では独自の「脂肪味」の存在は証明されていませんでした。

九州大学の研究グループは、他の基本味とは独立して「脂肪味」を伝える神経があることを発見し、「脂肪」に対する味覚が他の味覚から独立していることを示したのです。これは、「脂肪味」が6番目の味覚であることの科学的根拠になる研究結果だと考えられています。

研究グループは、マウスを用いて「鼓索(こさく)神経」の単一の神経線維における反応を研究して、脂肪の成分である「脂肪酸」に特有な反応を示す神経線維が鼓索神経の約18%を占めていることを発見しました。また、甘味やうま味に反応する神経の半数以上が脂肪にも反応することを明らかにしました。

 この研究は、2型糖尿病や肥満対策に活用できる可能性がある。さまざまな効果によって健康を保つために脂肪酸は必要だ。生体に備わっている脂肪酸の検知システムや、必須脂肪酸を含む脂肪酸が体に選択的に取り込まれるメカニズムを解明できれば、食事をより効果的に改善できるようになる。新たな治療薬の開発にも期待がかかる。


関連記事







   
★ 楽天カード


HOME