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脂質は、「糖質」、「タンパク質」と並ぶ大切な3大栄養素の1つです。その脂質を構成する重要な成分の1つが「脂肪酸(fatty acid)」です。お肉の脂身、乳脂肪、魚油、植物油などは、外見上は異なる脂質に見えますが、食品中の脂肪成分の約9割は脂肪酸で構成されています。

今回は、脂質の主要な成分である「脂肪酸」についてお伝えします。


中性脂肪と油脂


食品中の脂質や体脂肪の大部分を占めている脂質は、中性である「中性脂肪」です。一般的に「脂肪」という言葉を使う場合には、「中性脂肪」を意味します。

また、「油脂」とは、常温で液体の「油(あぶら)」と、お肉の脂身やバターなどのように常温で固体の「脂(あぶら)」とを合わせた脂質の総称です。つまり、「脂肪」、「中性脂肪」、「油脂」といった用語は、ほぼ同義語として使われています。

脂肪 ≒ 中性脂肪 ≒ 油脂


中性脂肪と脂肪酸


中性脂肪の主成分は、アルコールの一種である「グリセリン(グリセロール)」と、「脂肪酸(fatty acid)」がエステル結合で結合した「グリセリド」です。

グリセリンは、エステル結合を作る炭素原子が3個あるため、最大3個の脂肪酸と結合することができます。つまり、グリセリドには脂肪酸が1個結合した「モノグリセリド」、2個結合した「ジグリセリド」、3個結合した「トリグリセリド」があります。「モノ」は「1つ」、「ジ」は「2つ」、「トリ」は「3つ」という意味の接頭語。

中性脂肪のほとんどは、脂肪酸が3個結合した「トリグリセリド(トリアシルグリセロール)」です。そのため、中性脂肪はトリグリセリドと同義語とされています。また、中性脂肪は「TG」あるいは「トリグリ」と略称されます。





脂肪酸の構造


脂肪酸(fatty acid)」は、炭素、酸素、水素の3種類の原子で構成されています。全ての脂肪酸は、炭素原子が1本の鎖状(炭化水素鎖)に連結された化学構造をしており、一方の末端には「メチル基(CH3-)」、他方の末端には酸性の「カルボキシル基(-COOH)」があります。

(飽和)脂肪酸の構造350x180

脂肪酸は、炭素原子の数(炭化水素鎖の長さ)や、炭素原子間の「二重結合」などにより様々な種類があります。一般に脂肪酸では、固体から液体へと変化する融点は、「炭素原子数が多い(炭化水素鎖が長い)ほど高くなり、二重結合の数が多いほど低くなる」という性質があります。


脂肪酸の種類


脂肪酸の分類500x125

脂肪酸の種類は、分子内に二重結合が無い「飽和脂肪酸」と、二重結合がある「不飽和脂肪酸」とに分けられます。不飽和脂肪酸はさらに、二重結合が1個だけある「一価不飽和脂肪酸」、二重結合が2個以上ある「多価不飽和脂肪酸」に分けられています。

不飽和脂肪酸の構造350x240

多価不飽和脂肪酸はさらに、「二重結合」の位置によって分類されます。炭化水素鎖のメチル基側末端の炭素から数えて3番目の炭素に最初の二重結合がある脂肪酸を「オメガ3脂肪酸」または「n-3系(エヌ・マイナス・サンケイ)脂肪酸」と言います。6番目の炭素に最初の二重結合があるものを「オメガ6脂肪酸」あるいは「n-6系脂肪酸」と呼びます。両者の働きは異なるため、どちらの系の脂肪酸をどんな割合で摂取するかで健康に及ぼす影響が異なってきます。

二重結合が無い飽和脂肪酸の場合、炭素原子同士は一重の結合で他はすべて水素と結合していて安定です。しかし、不飽和脂肪酸は結合の一部に二重結合があるので酸素と反応して酸化されやすく、劣化しやすいという性質があります。


必須脂肪酸


必須脂肪酸」 とは、体内で作ることができずに食品から摂取する必要がある脂肪酸のことです。

オメガ3脂肪酸の必須脂肪酸は「α-リノレン酸」とそれから代謝されてできる「EPA」や「DHA」などがあります。オメガ6脂肪酸の必須脂肪酸には、「リノール酸」とそれから代謝されて生成される「アラキドン酸」などが属します。


オメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)


多価不飽和脂肪酸のうちで、炭素鎖のメチル基側末端から数えて3番目の炭素に最初の二重結合がある脂肪酸です。オメガ3脂肪酸は、脳や神経の機能維持に必要であり、非常に酸化しやすいという特徴があります。

代表的なオメガ3脂肪酸には、青魚に多く含まれる「DHA」や「EPA」と、くるみ、アマニ油、エゴマ油などに含まれる「α-リノレン酸(ALA)」があります。α-リノレン酸は、体内で代謝されてEPA、DHAになります。


オメガ6脂肪酸(n-6系脂肪酸)


オメガ6脂肪酸は、メチル基末端から数えて3番目の炭素に最初の二重結合がある多価不飽和脂肪酸です。血中のコレステロール濃度を下げると言われています。

代表的なオメガ6脂肪酸としては必須脂肪酸のリノール酸があり、リノール酸が体内で代謝されるとアラキドン酸が生成されます。オメガ6脂肪酸は、紅花油、コーン油、大豆油、綿実油、グレープシードオイルなどに多く含まれています。


オメガ9脂肪酸(n-9系脂肪酸)


オメガ9脂肪酸は、メチル基末端から数えて9番目の炭素に二重結合が1個だけある一価不飽和脂肪酸です。血中の善玉コレステロールは維持したままで、悪玉コレステロールの濃度を下げると言われています。

代表的なオメガ9脂肪酸にはオレイン酸がありますが、体内でも合成されます。オメガ9脂肪酸はオリーブオイル、べに花油(ハイオレックタイプ)、菜種油(ハイオレックタイプ)、落花生油などに多く含まれます。


トランス脂肪酸


二重結合を持つ不飽和脂肪酸は、二重結合の周囲の構造の違いによって、「シス(cis)型」と「トランス(trans)型」の2種類に分けられます。

シス型とトランス型300x170

天然の不飽和脂肪酸のほとんどは、二重結合が「シス型」なんです。

トランス脂肪酸」とは、「トランス型」の二重結合を持った脂肪酸の総称です。トランス脂肪酸を含む脂肪は「トランス脂肪(trans fat)」と言います。トランス脂肪酸には、天然に含まれるものと、食品加工の工程で生成されるものとがあるんです。

トランス脂肪酸は、摂取しすぎた場合の悪影響が注目されています。日常的にトランス脂肪酸を多く摂取すると、心臓病のリスクが高まることが示されています。しかし、研究の多くは欧米人を対象としたもので、脂質の摂取量が少ない日本人でも同じ影響があるのかは明らかではありません。

また、天然のトランス脂肪酸と食品加工の過程で生じるトランス脂肪酸の間で健康への影響に違いがあるのか、どのトランス脂肪酸が健康に悪影響を及ぼすのかについては、まだ十分な科学的根拠がありません。


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