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運動は、免疫機能を高めることが知られています。その一方で、たくましい肉体と優れた身体能力を持ちながら、「トップアスリートは意外に風邪を引きやすい」という現象が知られています。

アスリートは体を鍛えているはずなのになぜなのか、きっと多くの人が疑問に思われることでしょう。


アスリートは免疫機能が低下している


過酷なトレーニングを継続するアスリートは、一般の人よりも免疫機能が低下しやすく、風邪を引きやすいと言われています。

実際に、2012年のロンドンオリンピックで選手に多かった疾患は以下の通りです。

(1) 上気道感染症(風邪)  41%
(2) 胃腸炎  16%
(3) 皮膚疾患  11%
(4) その他  32%

最も多かったのは上気道感染症(風邪)でした。また、大きな国際大会でみられる内科系疾患の順位は、いつも決まっているそうです。

スポーツ医学で免疫機能の指標としてよく使われるのは「SIgA(分泌型免疫グロブリンA)」です。SIgAは唾液、消化液、涙などに含まれる抗体であり、ウイルスや細菌が粘膜に侵入するのを防いでくれます。検査しやすいうえに、含有量が増えれば免疫機能が高いと簡単に評価できます。

今まで運動をしていなかった人が適度な運動をすれば、SIgAの値は上昇しますが、過激な運動をすると逆に低下します。

アスリートの唾液に含まれるSIgA量と風邪の罹患率を調べた研究(Med Sci Sports Exerc. 2008 ;40:1228-36)では、SIgAが30%低下すると3週間以内に風邪を引くリスクが28%、SIgAが60%低下した場合は風邪のリスクが48%に上昇しました。

他にも、普通に運動している一般人よりもアスリートのほうが風邪を引きやすいことを確かめた論文(Med Sci Sports Exerc. 2007;39:577-86)があります。





激しい運動で免疫機能が低下する理由


なぜ、激しい運動では免疫機能が下がるのでしょうか?

実は、運動はストレスの一種として作用します。一般に、身体にストレスがかかると、副腎皮質ホルモンである「コルチゾール」が分泌されます。このコルチゾールには、免疫抑制作用があるのです。

免疫機能が異常に高まる花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患では、それに対応するためにコルチゾールが分泌され、その影響で免疫機能が下がってしまうという訳です。また、運動以外の様々なストレスに対してもSIgAの値が下がることが分かっています。

大会に出場するアスリートにとって風邪は大敵ですね。免疫機能が落ちやすいアスリートは、特に風邪対策を考えなければならないでしょう。


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従来、体脂肪といえば「皮下脂肪」と「内臓脂肪」に大きく分けられていましたが、現在は「第三の脂肪」とも呼ばれる「異所性脂肪」の存在が注目されています。異所性脂肪とは、「脂肪組織以外の様々な臓器に蓄積した脂肪」のことです。

肥満人口の多い欧米人に比べると、日本人は「皮下脂肪」がたまりにくい人種だと言われています。つまり、日本人は皮下脂肪に脂肪を蓄積させる能力が欧米人よりも低いのです。これは、日本人は皮下脂肪があまり増えずに欧米人よりも外見的には太りにくいものの、「内臓脂肪」や「異所性脂肪」が蓄積しやすい「隠れメタボ」が多いことを意味しています。

日本人は、「肥満ではないのに生活習慣病になる人」が多いという傾向がありますが、その大きな要因の1つとして考えられているのが「異所性脂肪」です。

生活習慣病との関連性について、従来は内臓脂肪が問題視されていました。しかし現在、内臓脂肪以上に異所性脂肪が危険視されている理由は、臓器やその周囲に異所性脂肪が蓄積すると、臓器本来の機能が阻害されるためです。

異所性脂肪の増加は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの作用を低下させ、インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」と呼ばれる状態に陥ってメタボや糖尿病を引き起こすのです。

脂肪が日常的に蓄積される内臓脂肪だけでなく、本来脂肪がつかない部位に蓄積される異所性脂肪の臓器機能への影響は、予想以上に大きいのでしょうね。

このように、日本人は一見するとそれほど肥満そうに見えない人でも、生活習慣病になるリスクは決してあなどれません。ですから、食生活や生活スタイルを日頃から気にかける必要があるでしょう。


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骨格筋とは、骨について運動したり身体を支えたりする筋肉です。骨格筋は、意識的に動かすことができる「随意筋(ずいいきん)」です。

通常、骨格筋は食事から摂取した糖質をエネルギー源として「グリコーゲン」という形で蓄えています。この骨格筋にも、通常ではみられない「異所性脂肪」がたまることがあります。骨格筋に異所性脂肪がたまると、その働きが低下して、インスリンの働きが悪くなってしまいます。

骨格筋にたまる「異所性脂肪」には、「筋細胞の中にたまる脂肪」と「骨格筋に入り込んだ脂肪細胞の中にたまる脂肪」の2種類あると言われています。CT画像の解析では、筋細胞の中に脂肪は見えませんが、骨格筋に入り込んでいる脂肪細胞にたまった脂肪は白く見えます。この脂肪量が多い人ほど、血糖値を下げるインスリンの働きが悪くなっており、骨格筋に「異所性脂肪」がたまることによっても、糖尿病のリスクが高まることが明らかになっています。

例外は、継続的にトレーニングを行っているアスリートでは、骨格筋に異所性脂肪が蓄積されている人でもインスリンの働きが良いことが観察されており、これは「アスリートパラドックス」と呼ばれています。さらに、習慣的に運動している人では、日常の活動量が多い人ほど骨格筋細胞内の脂質が増加しているというデータもあります。なぜ骨格筋に脂肪が蓄積されるのかは、まだ明らかにされていません。


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